小学生の頃、修学旅行でホテルに泊まったときの話です。
『週間ストーリーランド中止みたいだね』
『はぁ?今週も野球かよ』
『だったらデジモンカードやる?』
『いや、ポケモンカードだろ』
俺たちはそんな会話を三十分間続けた。そして、結局寝ることにした。
『テレビから何か出てきたら助けろよ』
電気を消してからも下らない話で盛り上がり、誰も眠る気配がなかった。
そして、みんな眠くなってきた頃、急にドアの向こうから足音が聞こえてきた。
その足音は確実にこちらに向かって来ているように思えた。
『先生じゃね?』
先生が、俺たち生徒がきちんと寝ているかを確認する、みたいな話をしていたのを思い出した。
『絶対そうだ!みんな、寝たふりをするぞ』
俺たちはいびきや寝言を言ったりして眠っている演技をした。
そして、俺たちの部屋の前で足音が止まった。しかし、一向にドアを開ける気配がない。他の部屋に入るような音もしない。鍵を持っているはずなのに…。それから足音は聞こえなくなった。
次の日、先生に見回りのことを聞くと、昨日はビールを飲み過ぎて爆睡していたみたいだった。見回りはしなかったらしい…
【完】