人斬りの花 24

沖田 穂波  2009-08-24投稿
閲覧数[405] 良い投票[0] 悪い投票[0]


3-11 香

抄司郎が椿のいる長屋の前までやっと戻ると,
微かな血の香りが鼻を触った。

― まさか‥!!

急ぎ中へ入ると,
部屋の床一面に血が散乱していた。
ここで,斬り合があったらしい。

部屋の隅に椿が血まみれになって倒れている。

『‥椿さん!!』

抄司郎は青くなって椿を抱き起こした。

『‥抄司郎さん?』

返り血を浴びてはいたが,どうやら気を失っていただけのようだ。
抄司郎はほっと肩をなでおろした。

『大変です!!』

我に返った椿は,飛び起きて抄司郎の着物の裾を握った。

『師匠‥師匠さんが!!』

椿の話によると,
抄司郎達の居場所を突き止めた武部の手下が1人この長屋に乗り込んだ。
師匠は椿を守るために盾となり,深手の傷を負いながらも,剣を交えたと言う。


長屋の前の河原から,
少し離れた所に,師匠は血だらけで倒れていた。
その傍らには武部の手下と思われる者が既に事切れている。

『師匠!!しっかりして下さい!!』

抄司郎は駆け寄った。
深手を負った師匠は,
今にも息が絶えそうである。

『‥抄司郎。』

『今手当てしますから‥!』

だがこの傷では助かるまいと,抄司郎は悟らずにはいられなかった。

≠≠続く≠≠

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 沖田 穂波 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]
★セレブ御用達★
最高級の死海の塩


▲ページトップ