『昭幸の学校の制服…』
心は慌てて昭幸を探した。そして見つけた。
『昭幸!!!』
心の声に昭幸が振り向いた。目が合ったのは数秒だろう。しかし、時が止まったかのように感じられた。
昭幸は何も言わなかった。昭幸はあとから来る生徒の波に飲まれて階段を上っていった。そして、心も後から来る人の波に飲まれて階段を下りていった。
最後の一段を下りた時、心はまた泣いた。歩きながらすれ違う人の目も憚らず(はばからず)泣いた。
「心…」
心配した健司が名前を呼んでくれた。優太は肩を支えてくれた。清水寺はもう遠くに見えた。
昭幸はあの後に集合写真を撮った。そして、その後の自由時間に昭幸が心を捜していたことを心が知ったのは大分時が経ってからだ。
やがて、心は泣き止んだ。
{何で泣いたんだろ…。}
心は無意識の内に泣いていたのだった。
今、一行はバスを待っていた。
バスを待っている間に心は落ち着いた。何故か泣いたことで気持ちがすっきりした。
{ん…もう大丈夫}
『優ちゃん(優太のこと)…もう大丈夫ありがとう。』
「うん」
その後すぐバスが来て、心たちは乗り込んだ。
続く…