初恋 2
隆が砂浜へ着くと、ひとみが声をかけた。
「隆!コッチのチームに入ってよ!」
しかし隆は、無視をした。
今、彼女たちの水着にときめいた自分が、素直にひとみの声に、返事が出来る訳がなかった。
ひとみとスージーは、残念そうに顔を見合わせた。
隆は、又一人離れて、砂浜へ腰を降ろした。
そこへ、勇二がやって来た。
「隆!どうしたんだよ?今一緒にやらなきゃ、いつまでも一緒に遊べないぞ!」
「うん。わかってる」
「それなら、一緒に行こう!」
勇二は隆の腕をつかんだ。
「うん」
隆はようやく、腰を上げた。
そして、勇二に引っ張られる様に、ドッチボールに加わったが、ひとみたちのチームには、入らなかった。
隆はスポーツ万能。形勢不利だった勇二のチームは、隆が加わり、簡単に逆転してしまった。
ひとみとスージーは、自分たちのチームが負けても、隆の頑張りを見て、ホッとした。
ただ、未だに口を聞いてくれないのが、気がかりだった。