女は眠りにつくと、毎晩同じ夢を見た。異国の地で理想の男が現れる幸せな夢だった。
だが女は悲しみに暮れていく。いつも夢が途中で途切れるからだ。
それでも女は夢の男を忘れることが出来なかった。
女は、夢で見る異国の地を旅して回ることにした。
真新しくも懐かしい印象を与えてくれる異国の地は、次第に女の心を癒やしていった。
ある時、女は夢の男にそっくりな男を見つけた。勇気を振り絞り男に声をかける。
話をしてみると、驚いた事に男の方も毎晩夢で見る女の事を探して、異国の地に訪れていたのだという。
「よかった。これで悪夢から解放される。実は私、結婚しているのです」
その日から女は夢を見る事はなくなった。