恐神岳は、真夏でも、広範囲に万年雪があり、秋になれば、雪の白と、紅葉の赤や黄色のコントラストが、非常に美しく、その景色を空から眺める、遊覧飛行が大人気であった。
その日は、朝から晴れ渡り、多少の雲は有ったが、遊覧飛行には、最高の日和であった。
天候にもよるが、毎日午前中に2度、午後に3度のフライトが有り、その日の最後、3時に飛び立ったセスナ機が、帰って来なかった。
急激な気温の変化で、積乱雲が発生し、落雷があったのも事実だが、その真相は、未だに不明である。
15分のフライト予定で、11分までは交信記録が残っており、乗客の歓声も録音されている。
ところがその後、機長の『うおー!』と言う声を最後に、録音が“プツリ”と、切れている。