―――思い出したくもない。
女が苦手な理由―――\n
実の姉貴に犯された、なんて他人には絶対言えない。
俺がまだ中学生の時、
家の家族構成は祖父母、父親、姉貴、俺の5人。
母親は俺が小学生に上がる前に死んでしまった。
だけど、悲しいとは思わなかった、ただ、物足りないぐらいにしか考えていなかった。
一方、親父はかなり苦労したんだろうなぁ。
同年代の人と比べても老けてる、白髪だから余計そう見える。
朝飯、3人分の弁当、晩飯は姉貴が殆どやってくれた。
婆ちゃんも作ってくれるが、味が薄い。
困った事といえば、姉貴の作る弁当はかなり凝っていてたまに恥ずかしい。
パンダのおにぎりが入っていた時もあって、隠しながら食べたなんて事もあった。
異変に気付いたのは受験で忙しかった夏の時期だった………気がする。
ちょくちょくTシャツとか下着とかが無くなった。
まぁ、それはあんまり分からなかった、後で思っただけだ。
薄暗い部屋で姉貴が俺のそれを使って自慰しているのを見て。
そこには俺の知っている姉貴は居なかった、
欲望、欲求を満たしている獣。
何が悪かったのだろうか、星座占いが最下位だったからだろうか。
その現場で餌に飢えた獣に見つかってしまった。
見とれていたんじゃない、恐怖と吐き気で動けなかったんだ。
足の折れた兎を獅子は満足げに食べていく………
泣いた。
女に初めて泣かされた。
それから、そんなことはなかった。
姉貴は何もなかったように、日常生活を送っていた。
だけど、俺は普通には戻れなかった。
女が怖くなった、触ることも話すことも抵抗があった。
正直言えば、嫌と言ってもいい。
希望していた学校を男子校にした、お陰で今は落ち着いた生活をしている。
今、姉貴は上京して、離れて暮らせている。
今回の旅行は正直ホッとしている。
病室にいれば、女性と合うことは殆ど無い――――
なのに、何でこんな状況に………
ドアを開くと、着替え終わったのかカーテンが開いていた。
思わず目を逸らそうとした、しかし、そうすることは出来なかった。
彼女の目は包帯でグルグル巻きにされていた。