時計の針

 2009-08-27投稿
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これは、僕の社会人2年目からの話だ。

高校生活を終え、大学への進学は選ばず、僕は就職した。

とある派遣会社の正社員となり、山梨県の営業所に配属され、残業と休日出勤に追われる日々が続いていた。

忙しさと疲労は体に纏わり付いていたけど、それなりに楽しく、そこそこ充実した毎日を送っていた。

そうして、いつの間にか時計の針が何百周かして、仕事が様になった事を実感じた時には、既に1年が経っていた。

更に、仕事が身についたことへのご褒美も会社から用意された。

これまで、労働基準監督所に知られたら、法的処置指導を免れないこと必死だった休日出勤が緩和され、「休日」というものが、僕には与えられるようになった。

休日…この日の為に仕事を頑張る人も決して少なくないと思う。

だから、あえてご褒美と言ってみたけど、このリフレッシュデーは、社会人の僕を悩ませる種になったんだ。

どんな悩みかというと、中には、有り得ないと思う人がいるかもしれないけど、休日に何をすればいいのか解らなかったんだ。

学生の頃から趣味と呼べるものはなく、ゲームもしない奴だったから、本当にする事がなくて困っていた。

そんなある休日、同僚から勧められ駅の周りを散策することにした。

別に興味もなかったけど、その同僚の「せっかくの休みなんだから」という言葉にノせられてしまったんだ

一応…来たんだからと思い、駅ビル内の店舗を始め、商店街と呼べる各商店も見て回った。

休日なだけあって、それなりに人込みもある中で、大半がカップルだった。

正直、学生の頃から他人の目を気にせず、赤の他人に目を向ける事さえなかったけど、その僕の目にさえカップル達は映ったんだ。

そして、そのカップル達は、僕に素直に羨ましいと思わせた事に気付いた時、自分の気持ちに驚いた。

「羨ましい」=「彼女が欲しい」

まだ若者の仲間に入る歳のくせに、1年間…恋愛とは程遠い生活を送ってしまっていたんだ。



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