交信が途絶えて30分。
直ぐに、対策本部が立ち上げられ、矢口たち、山岳警備隊や警察、地元の消防団員等、総勢80人以上で、捜索が始まった。
ところが、捜索隊が出発して間もなく、雲行きが怪しくなり、雷が鳴って雪が降り始めた。
9月中の初雪は、10年ぶりだった。
それでも、“日没までに、何か手がかりを”と、矢口たちは、山を登り始めた。
全ての捜索隊が、登山用の重装備をしてはいたが、警察や消防団員は、寒さ対策までしていなく、直ぐに戻り始め、山岳警備隊の10名だけが、3号目の休憩所を目指した。
恐神岳は、その名の通り“神も恐れる”山で、地形が複雑で、万年雪も大きく、毎年の様に遭難事故や滑落事故が起きている。
そのために、自治体が、安全対策に力を入れているが、事故が後をたたない。
しかし、セスナ機の遭難は初めてだった。