「くくくく……」
城の中に入ると、さっそく魔王のお出まし。不気味な笑い声を上げていた。やっぱ強そうだ。
「出たな魔王!」
リアクションがオーバー過ぎるよ、ケン……。
「覚悟しろ……今日がお前の命日だ!」
カッちゃん! いつ考えたんだよ、その台詞!
「よくぞ来た……勇者とその仲間よ……」
魔王は気味悪く微笑む。
「ちょっと待て、何で俺たちは『その仲間』ってひとまとめにされてんだ?」
「『勇者と魔法使いと僧侶』って言えばいいだろ」
ごちゃごちゃ言う二人。
ああもう! 細かいことは気にすんなよ!
「助けてぇ―――!」
どこからともなく女の子の叫び声が。
よく見ると魔王の背後の檻にお姫様が捕まってる!
「佐藤さん!?」
檻の中の姫様は、まさしくクラスのマドンナ・佐藤亜紀ちゃんではないか――!!!!
「姫を返せ魔王!」
急にやる気がみなぎる俺。
「返してほしけば私を倒してみろ……さぁかかってくるがいい、勇者ども―――!」
魔王が攻撃を仕掛けてきた!
俺は剣を抜いた。
「おい! 誰か攻撃しろよ!」
「『素早さ』が低いから、先攻できないんだよ!」
何だって!?
「まずい! みんな防御しろ――」
その瞬間。魔王の攻撃。
「フン、くらえ!」
ドン――!!!!
痛恨の一撃だ。
俺は250のダメージを受けた!
ケンは300のダメージを受けた!
やばい…瀕死状態だ…。早くHPを回復せねば…!カッちゃん頼む!
「あぁっ! カッちゃんが死んじまったぁ〜!」
なにィィィっ!?
カッちゃんは倒れていた。
「回復役が死んじまったじゃないか!!」
使えねー!!
「どーすんだよっ!?」
「どーするもなにも……もう攻撃するしかないだろ!」
俺の攻撃、魔王に170のダメージ!
ケンは呪文を唱えた!魔王に100のダメージ!
全然効いてねぇっ!!
「こしゃくな!死ね――!」
魔王は呪文を唱えた。
俺は力尽きた。
ケンは力尽きた。
俺たちは、全滅した。
目を覚ますと、今度こそ俺の部屋。ゲームもやりっ放しだった。ケンもカッちゃんもいる。生きてたか、カッちゃん……。
「俺……変な夢見た……」
「まじ!?俺も!」
奇妙なことに、3人とも全く同じ夢を見ていたのだった。
俺は思った。
ゲームもほどほどにしよう、と。
〜gameover〜