「坊や、ちょっといいかい。市立病院はどっちに行けばいいかな?」
黒いサングラスをしたおじさんに話かけられる。
市立病院って、お祖父ちゃんが入院してる病院だ。もしかしてお見舞いに行く人なのかな……。
「坊や。学校まで送るから、病院まで案内してくれないかい?」
「でも……」
プゥルルル♪
プゥルルル♪
着信音が鳴り響いたと思ったら、急に白い車のドアが開いて、黒いサングラスのおじさんが僕の左腕を強く掴んだ。
「痛いよ! やめて!!」
プゥルルル♪
プゥルルル♪
着信音はだんだん大きくなっていく。
でも携帯電話をみることはできない。