雪の華?

龍王  2006-07-28投稿
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「……」
「どう…したの?」

仏頂面でいる聖夜に、桃実が無表情で訊いた。

「また……あのクソガキが朱斐を無断で連れて行きやがった。朱斐も朱斐だ!あんな奴…」
「──……」
「クソ兄貴!俺に頭下げるくらいなら朱斐を連れて逃げるくらいしたらいいんだ!」
「黒…峯…?」

聖夜が、自分の言った言葉にハッと気付き慌てる。

「あっ…いや…」
「黒峯……どうかしたの?」

桃実が首を少し傾け訊くが、聖夜は口籠る。

「聖夜?」
「……兄貴の……話していいのか?もう……辛くないのか?」
「──……もう……昔の事よ」

桃実の言葉を訊き、聖夜は顔を顰める。

「……あいつ……朱斐の付き人だったんだ。……そん時…二人は互いに想い合って…今でも互いに好きなんだ」
「……そう」
「でも……兄貴にも朱斐にも婚約者がいる。兄貴は朱斐を好きなくせに……朱斐が…可愛そうだ」

桃実が少しうつ向き、顔は無表情だが悲しそうに見えた。

「──……悪い。やっぱ話さない方が良かったな」
「……ううん」

桃実が左腕を押さえながら首を横に振った。
聖夜が手を伸ばし、左腕を押さえている桃実の手に、手を重ねた。

「……ごめん。思い出したか?昔の……黒峯と付き合ってた時の事…」
「──……私の中ではもう過去で…この傷も割りきってる」

桃実が無理に口端をあげ、笑顔を見せる。

「……桃実…俺を恨んでるか?」
「いいえ、好きよ…好き…」

聖夜の顔が悲愴に歪み、辛そうな顔で桃実を見つめる。

「ごめん…桃実」
「聖夜……私は…もう…いいの。もう…」


もう
私は…私の心は大丈夫なのに…
可愛そうな聖夜…

こんな傷に縛られて
私と付き合うなんて…
可愛そう




「……白藍は好きな事って何?えっと趣味?」
「趣味かぁ…一通り色々教わったけど…特におもろい思うた事ないな」
「そっか…仲の良い御兄弟とは何も?」
「う〜ん、せやな…これと言って…会話くらいしかせんな?朱斐は?趣味」
「私は…花を育てたり最近は陶芸や写真取るのが楽しいの」
「お嬢様が…陶芸にカメラ?」
「…やっぱり…変?」
「嫌…やっぱ朱斐は違うんやな〜と…」
「違う??」
「何でもない。もっと知りたい♪訊かせてや」

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