「……………今、5時10分です」
「そうですか、じゃあまだ明るいんですね」
時間感覚が麻痺しているんだろう、目が見えない状態でこんな所に何時間も居れば当たり前か。
ん?
というか、コイツは見えない目でどうやってここまで来たんだ?
っていうか、何で俺だって分かるんだよ。
「ところで気付いていますか?」
………何が?
ソイツは立ち上がって捨て台詞を吐いていった。
「サンダルから変な音がしてますよ?」
「サンダル? あ………」
気付かなかった、
画鋲が刺さっていた。
確かにこれなら目が見えなくても分かるだろうが………俺には無理だ。
静かな病院とはいえ、多数の足音な中で俺を判別するのはかなり難しい筈だ。
だけど、不可能ではない。
「怪我じゃないのか………」
人間ってのはどこか引っ込むとどこかが出っ張る、どこかの器官が不能になると、どこかの器官が発達する。
しかし、そんなにすぐになるわけじゃない。
つまり、篠原は目が見えなくなって永いという事だ。
なら、何で包帯で目を隠しているんだ?
目が見えないっていうなら、何でワザワザ包帯を巻いているんだ。
盲目の少女
傷を持つ少年
誰も分からない
誰にも予想できない
その物語の最期は………