(エリンが戻る前に、風呂でも入って、頭ひやそう。)
そう思い、僕はバスルームへと入る。
もしも、僕等の力を知っているとなれば、王は黙ってないだろう。
なるべく、その話を出さないでいてもらいたい…。と心の中で呟く。
考えてるうちに、どうやらエリンが帰ってきた。
何か叫んでいる…。
「あ〜ここにいた〜。」
ドアを開けて、ヘラヘラと笑うエリン。
「なっ!なんで開けんだよ!閉めろ!」
僕は思わず手で隠す。
(俺は女か?!)
「ありゃ〜なんで怒ってるの〜?」
(…?なんか変だ。)
「お前…。酒飲んだのか?」
エリンから酒のニオイがする。
「え〜ちょっとね〜。」
フラフラしながらドアを閉める。
(バカったれ!)
僕は急いでタオルを巻き、部屋へ戻る。
エリンはベッドにそのまま横たわっていた。
「エリン、せめてパジャマ着ろ!」
エリンを揺さぶり起こす。
反応ゼロ………。
(ダメだこりゃ…。)
エリンに布団を掛け、僕はパジャマに着替える。
別々のベッドで寝ようと思い、僕は空いてる方へ体を横にした。
「ハーン…。」
エリンが呟く。
「なんだ?やっぱ着替えるのか?」
僕は体を起こし、エリンを見た。
「…。こっち来てよ。寂しい。」
甘えた声で、布団の隙間から顔を覗かせる。
「てか、着替えろ。服がグシャグシャになるぞ。」
僕はエリンの布団に手をかける。
「ハーン。あたしの事、どう思う?」
エリンの手が僕の手に触れる。
「どう…って、好きだよ。」
「そうじゃなくて…。」
「なんだよ、他にあんのか?」
「だから…。あの…。」
今にも泣きそうなエリン。
「どうした?」
「あたしの事、重荷になってるかと思って…。」
我慢しきれなく、涙を流す。
僕は優しく指で拭きとる。
「どうして、そう思うんだよ。そんなことないのに…。」
「あたしの耳の事も、あたしがペンドラゴンなのも、ハーンにとって苦しい事じゃないかって…。」
僕は、エリンを抱きしめ
「お前、飲み過ぎたろ…もう横になれ。」
そう言ってエリンを寝かしつけようとした。
「やだよ…。ねぇ…、愛してるって言ってよ…。」