惑う処方箋

涼木 遊  2009-08-31投稿
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《46・夏》

夫と目が合ったのは、数日ぶりだった。
仕事から帰宅すると、廊下のトイレから電光が洩れていた。消し忘れかと、何も考えず戸を開けると、夫がロダンの「考える人」常態で私を見上げた。
「…だっ!」
夫の声を切るようにピシャッと戸を閉めた。

そのまま二階の自室に入り、夫は今日本にいて、ウチで生活していることを思い出す。


こうなってから、何年だろう?
昨年は日本に居なかった。
その間に、息子は大学を中退し、家を出た。
不景気のため、昨年末からは日本に居ながら、週単位で海外出張を繰り返すようになった。
子供という繋ぎが無くなった夫婦は、何で繋がるのか、解らなかった。普通の夫婦は愛情なんだろうか?愛情など、無くなって何年?何十年?
愛情があって結婚したのかどうかも記憶にない。当時、父親が倒産し、狭い家に親子五人はきつかった。かといって、田舎で二十歳そこそこの娘が部屋を借りて一人暮らしは世間体が悪いという時代だった。まともな娘は自宅から勤め、二十五歳までに嫁に行けば良かった。
 その時、私に求婚した十歳年上の優しい男が居たから嫁に行った、それだけではなかったか。


今日の薬

アンデュ   1
タケプロン 1
ガスモチン 1
ドグマチール 1      朝食後

ガスモチン 1
ドグマチール 1      昼食後

ガスモチン 1
リバロ    1      夕食後

デプロメール 1
ナウゼリン 1
マイスリー 1
デパス 1
就寝前

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