「花、携帯番号教えろよ」
勇がいきなり言った。
「は?勇、私に用事ないじゃん。意味ある?」
「お前なー…」
「勇、彼女いないの?」
「この前別れた。」
「?!」
勇に彼女がいたことが結構ショックだった。
「さ、さようでございますか。」
「花は?」
いるわけないのに聞かれると強がって「好きな人ならいる」と言った。実際そんな人いない。
「へー、どんな奴?」
「へ?!…えーと、最近好きになったからあんまりわかんないかな。あは。」
嘘がバレないように勇の目を見て言った。
「………え、オレ?」
勇を見つめすぎて勘違いされた。
「は?違う違う!」
私は頭をブンブン振った。でもなぜか顔から火が出そうなくらい熱くなった。
「だ、だよな?…んなわけねーよ。ごめん。」
勇も顔が赤くなっている。
「じゃ、オレ反対だから、ここで。じゃあ、またな。」
勇が鼻をかきながら恥ずかしそうに行ってしまった。
なぜか私の心臓はバクバクいってる。嘘の後ろめたさにしては尋常じゃない。
「こ、これは勇がいきなり変なことを言ったからビックリしただけだから。」
私は自分に言い聞かせながら電車を待った。