その日以来、またいつもの時間帯に戻ったため、勇を見かけることはなくなった。
それから2ヵ月後、夜にいきなり勇から着信がきた。
『もしもし、花?』
「どしたの?いきなり。」
『明日のバスケの練習試合、お前んとこの高校らしい。』
「へー!来るんだ?」
『おー、……まー、そんだけだ。』
「頑張れ〜」
『いやいや、試合観に来いよ。』
「暇だったら行くよ。」
『どーせ暇だろ』
翌日。
勇の言うとおり、暇だったので学校へ試合を見に行った。
体育館にはバスケの試合を観に、部活で学校に来ていた生徒たちが詰め掛けていた。
「おっ、やってるやってる。」
勇がバスケをしている姿をはじめて見た。なかなか動きが軽やかで上手い。
少し人込みから離れたところにいると、女子の固まりから黄色い声援が飛びはじめた。
「あの人かっこよくない?背番号4の人!」
「私も思ってた!なんか爽やかな感じ!」
「またシュートしたよ!」
誰の話をしているのか、気になってコートをチェックした。
「背番号4…………勇。」
ワォ。モテ男。
試合後も特に話しかけに行くのも変かなと思い、女子に囲まれている勇に手を振ってそのまま帰った。