着信は勇からだ。
「はい。」
『あ、オレ。』
「オレオレ詐欺かしら?」
『あ、勇です。…って着信で名前出るだろ。』
「何?」
『何って…、お前何で先に帰るわけ?帰る方向一緒じゃん。』
「あんな囲まれてるとこ見せられたらジャマできないし。」
『ジャマしてくれた方が助かったんだけど。』
「気が利かなくてすいませんね。」
なんかイライラする。刺のある言葉しか出てこない。
『なんかお前怒ってない?どうした?』
「別に……。あ、今日の試合よくも我が校をこてんぱんにしてくれたね。」
『お前の高校だからムキになったからな。』
「……性悪。」
『なー、何怒ってんだよ。……(ちょ、何?……は?味噌?花んち?)』
「どしたの?」
勇の携帯の向こうからおばさんと会話する声がする。
『なんか、母さんが味噌作ったからお前んちに持って行けって。…ってことだから、そっち行くわ。じゃ』
私は慌てて脱ぎ捨ての服たちを片付けた。
………ピンポーン
母が玄関に行く音がする。……ガチャ
「あら?勇ちゃんじゃない!大きくなったわね〜。…え、味噌?まぁ、こんなに?ありがとう。いまちょうど花と勇ちゃんの話してとこなのよ〜」