『はい、トモダチならたくさんいます』

梨恵  2009-09-02投稿
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ひそひそ
くすくす


カタチだけ笑顔をつくる皮膚はこんなにもピリピリと痛む

教室の隅で
また冷たい笑いが生まれる



優しいあの子は騙されて


可愛いあの子は妬まれて


賢いあの子は謙遜され


素直なあの子は利用され



強い者に脅え
弱い者を虐める




教室は世界の縮図だ、なんて
偉そうな先生みたいな思考を抱えて
もう飽々した木の香りのする机に突っ伏した



『今』を取り巻く
狭くて小さな
それでも絶対的な『世界』

家族先生友達恋人



信じる先は裏切り
愛する果ては苦しみ




夢から覚めた
少し早すぎるかな


すべてが敵に見えて
仕方がない




でも涙で滲む景色に
あの子が立っていた


「負けないで」

よく晴れた屋上で
人知れず消えようとしたわたしに
声を張り上げて叫んだ


人の闇に迫られて感じるのはいつだって
あなたの存在が
光だからこそ


あなたが光だから
人の心の闇がわかる

闇の中で歯を剥き出して汚く笑うあいつらは
自分が闇であることすら気付いてない

最後に勝つのは光だよ



あぁ…たしか、
あの子の名前


「私は、石川 光だよ。よろしくね」

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