「何借りようかな〜。……ラブコメ…SF…アクション………。」
ズラリとDVDが並んだ棚をゆっくり吟味しながら歩いていると、
「お客様にはこれがお薦めですよ。」
急に後ろから声をかけられ振り向くと、パッケージに血まみれの人が載ったDVDが目の前にあった。
「ぎゃーー!!」
驚きの余り、可愛くない叫び声を上げ腰を抜かした。
「ぶっ…驚きすぎ、花。」
勇がホラーのDVDを持って立っていた。
勇もDVDを借りにきたらしく、Tシャツに下はスエットを履いて、眼鏡をしている。
「あんた本当に最悪…。」
驚かされたのと、初めて眼鏡をかけた勇を見たのとで、なんか心臓がバクバクしてる。
でもそれがバレないように自然を装った。
「花は何借りてんの?」
「今のトコはこれと、これ。」
そう言いながらお互いに借りようとしているDVDを見せ合った。
「「……うわぁ、同じ。」」
二人とも全く同じモノを借りようとしていた。
「なんかそれぞれ借りるのもったいないな。観終わったら貸してくれ。」
「これ新作だから明日返却だよ。」
「あー、そうか。」
「あ、一緒に観る?今日誰も家にいな……あ。」