それは鋼製の剣のようだった。男性からは十分な殺気が感じられた。
「もう、時間がないわ。この指輪をあなたの利き手の小指にはめて!そうすればあなたを救うことができるわ」
俺は、目の前で何が起こっているか整理がつかないまま、指輪をはめることにした。
「しょうがない」
俺は右手の小指に指輪をはめた。
「ありがとう。ちょっとの間体借りるね」すると、俺の体が勝手に動き出した。
「こ、これは?」
「あなたの体に術指輪のパスをつないで私の元の体と同化するようにしたわ。つまり、あなたはあなたでも身体能力・意志指導権は、私のものになるのよ。ま、詳しい説明は後からね。まずは、目の前の奴を消してからよ」
自分の口が勝手に動いたことや声・口調が、指輪から聞こえてきた女の子のものになっていたので驚いた。
「え、よくわかんないけど自分が危ない状況なのはわかった」俺は、喋ることが出来なかったので自身の心の中から話しかけた。
「んじゃ、少し黙っててね」と女の子が、僕の口を借りて言う。するとあの黒スーツの男性が剣先をこちらに向けて走り出してきた。
そして俺の目の前まで来て両手で掴み剣を振り上げる。
「お、おい!!」俺は、危機感のあまりたまらず声を上げる。
次の瞬間、俺の体が動き出しその場から数メートル後ろに低い高度で跳んで、攻撃をかわす。空振りした剣は、地面に突き刺さった。
「え、俺こんなに跳べないのにどうしてだ」
「うるさいわね!いいからちょっと黙っててって言ったでしょ」女の子は、強い口調で言う。
「悪あがきはよしなよ。一般人の体を借りたところで無駄だよ」男が不適な笑みをこらしながら言う。
「それは、どうかしらね」
すると、女の子が落ち着いた口調で呪文?を唱え始めた。
「歴戦の武器よ我が使い手となり己の錆を落とそう…召還!」すると空間に小さな魔法陣のようなものができ僕の体は、光る陣の中に手を入れた。
なんだよこれ槍か?
持っていたのは、シンプルな短い槍のようだった。
「ショート・スピア召還完了」「そ、そんなことがまだできたのか」
「終わりね」
すると、僕は右手に掴んだ槍を大きく振りかぶり投げる。
一瞬の出来事に男は、反応しきれなく槍は男の右胸を貫いた。「ゲホ…ゲホ不覚だった」
スーツ姿の男はその場に倒れた。
※僕→俺に変えました