「床だと尻が痛くて…」
一瞬襲われるかと思ったらそんな理由だった。
本当に勇は私を女だと意識していない。
ちょっと期待した自分が恥ずかしくなった。
それからまた映画を観始めたが、途中から眠気がしてきてウトウトし始めた。
目をこすりながら頑張って観ていたが、途中で意識が飛んでしまった。
……2時間後。
気がつくと自分の部屋のベッドの上で横になっていた。テレビの前に勇が座り、またゲームをしている。
「あれ?映画は?……っていうか、何で私の部屋?!」
「やっと起きたか。お前、途中でオレに寄りかかって寝たからここまで運んでやった。」
「え!?どうやって……まさか!」
「まさかのお姫様だっこで。お前軽すぎ、ちゃんと食べろ。」
穴があったら入りたいくらい恥ずかしかった。
とりあえず布団をかぶった。
「よし、じゃあ帰るわ。オレ出たら、ちゃんと鍵かけとけよ。」
勇がテレビを消して、帰ろうとする音が聞こえる。
「……もう帰るの?」
布団を被ったまま聞くと、
「あのなー、もう深夜1時過ぎてんだぞ。誰のせいでこんなに遅くなったと思ってんだよ。」