「……別に勝手に帰ってよかったのに。」
私がそう言うと、勇がこちらに歩み寄ってくる足音が聞こえる。
……次の瞬間。
ガバッ!!
勇が布団をめくり上げ、お腹の上に乗っかってきた。
私が呆気にとられていると、両手で私の頬を挟み、顔をグッと近付けてきた。
私は思わずギュッと力一杯目をつむった。
「…………。」
しばらくしても何も起こらないので、恐々目を開くと、勇がベッドから降りようとしていた。
「もしオレが帰って、玄関の鍵が開いたままだったら、変態が入ってきてこうやって花を襲うかもしれんだろ?一応お前も女の子だし気を付けろよ。」
…完全にカラかわれた。
私ばかりドキドキして、淡々としている勇に腹が立ってきた。
私はベッドから飛び降り、部屋のドアノブを掴もうとしている勇の胸グラを思いっきり引き寄せた。
そして驚いた顔の勇に無理矢理キスをお見舞いした。
「バカ勇。早く帰ってしまえ。」
私は呆気にとられ茫然としている勇の背中を押して、部屋から追い出し、玄関から追い出し鍵をかけた。
部屋に戻り布団に潜り、自分のしてしまった事の重大さにやっと気づいた。
「もう勇に会いたくない…」