オセロ

ビーバー  2006-07-29投稿
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 俺は深夜の家宅と家宅、その両方をそのたった一つで隔てているブロック塀に、足音も立てずに飛び降りた。当然だ。靴下なのだから。
 肩掛けのポーチから拳銃、ナイフ、札束などをゴソゴソとそのせまい空間であっちへ押しやりこっちへ押しやり、ようやくボロスニーカーを探し当てた。
 それをゴソゴソ履き替えると、人気のない深夜の路地に降り立った。蛍光灯とお月様が、俺を険しい顔でにらんでいる。というか、そう思えてしまう。それはなぜか?疚しいことをしている人間ならだれだってそうだ。とどのつまり、最近お月様や蛍光灯のこちらをにらんでると思ってしまうような目に付く光の視線が和らいでいるような気がするのも、「疚しいこと」に罪悪感を感じなくなってしまったからであろう。または、「疚しいこと」がばれないことに、慣れてきているのだ。
 左腕の装着した腕時計の針をみた。午前一時五十五分。予定より五分早いが、まあいい。手っ取り早く、確実に。そして、欲は出すな。
 これが我が闇の世界の鉄則である。そう、ブタ箱に入ったら元も子もない訳なのだから。
 俺の名は綾瀬誠。「誠」実に真面目に生きるようにとこの名前を付けた両親の期待をものの見事に裏切りに裏切った独身二十九歳。性別は男。察しのいい読者さんなら、前述で俺が右利きということは分かっていると思うが、念のため記しておく。
 職業は世間で俗にいう「泥棒」マニアックに言うと「窃盗常習犯」である。
 ある小説では「怪盗」とやらに散々バカにされている我々だが、これは「怪盗
」という人種のショーもない先入観、中傷である。ただ目立ちたがりやの盗人が「怪盗」になり人見知りの盗人が「泥棒」になっただけだ。なに?盗人猛々しい?…五月蠅い読者さんだな。失礼な。
 さあこれで俺が深夜の家宅の合間のブロック塀にいたり、ナイフや拳銃、札束を持っているか分かっただろうか。そこでそろそろ本題に入ろうと思う。
 このミステリアス(?)な職業がら、よくトラブルに巻き込まれる。ここではそんな出来事を、紹介していきたい。
 何?テレビだったらこのタイミングで終わる?あそう。じゃあそうしましょう。作者の都合があるので、続きをお楽しみに。



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