ある志士の挫折

ひで  2009-09-04投稿
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俊介は15才水飲み百姓の息子であった。
青雲の志しはいつも胸に持って生きている。
俊介の青雲の志しとは他の志士から見れば誠に俗物的なものであった。
要するに水飲み百姓から成り上がり今に権勢と金を掴み他人を支配したいという私的な欲望であり世が変わろうが変わらなかろうが関係がない次元であった。
世の為人の為なぞと酒を飲みウだを挙げてるのは立派な門があり白壁に囲まれたオボチャンばかりで内心苦労知らずのボンボン達がと馬鹿にしていた…
周りの者は反対に志士とは認めず立身出世を唯一とする肝者と馬鹿にしていた。
俊介は今の志士活動に賭けていたから他人から揶揄されようが笑いながら頭を掻きながら愛嬌を振舞い凌いでいた。
細使いのように坊っちゃん連中の用事をしてやり知らぬ間に無くては為らない変な志士が出来上がった。
そんな俊介だが肝玉も座っており金を集める時は異様な働きをした。
仲間と思っている志士の実家に乗り込み金を無心してくるのである。
俊介曰く今貴方様の息子が日本を考え若き命を投げうとうとしている!
しかし乍ら息子様の残念なのは事ここに至り我が命を投げ出す事は日本男子として本懐であるが両親には申し訳がない、それだけは残念だ。
宜しく伝えて欲しいとの事で参りました。
此れは私の戯れ言ですがお仲間衆の家からは共済金が続々集まっている中………肩身が狭そうです。
慌て皆いくら程出されてる〜と下世話な話になるが其こそ俊介の得意分野で他の志士にこんな駆け引きはできない。
貴重な志士である…
また食材、酒の買い出しも商人の上前はねる程でやがて金銭出納係に任命された。
一躍志士の中の幹部である。
そんな中俊介の偉さは部下の意見をよく聞き自分の足りない事を持ってる者には頭を低くして知識知恵を我が物にしていった事である。
彼の今後に多くの貯金をしたのはこの時代である。
金では無く徳を貯金したのである。
俊介は小まめに実家に送金して妹に実直な養子を貰い我が家が立ち行く努力もしている。
敢えて激して討論もせずしかし乍ら実質上の志士グループの経営者であり理論的指導者の晋作は常に俊介と話しあい奇策奇手を打てたのも金銭的な裏付けがあればこそである…
只女だくはこの現実主義者の弱点であり口説き下手のうえ他の志士と比べ颯爽さがなく本当に持てない。
晋作も彼には心優しく裏で手を廻していてくれた。



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