あなたがいるだけで。?

ゆう  2009-09-05投稿
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あの日から大嶋くんと帰り道にたまに話すようになった。
今までも私は大嶋くんの姿は見かけていたけど、私が一方的に見つめているだけだった。
なのに今は… 信じられないことが起こってる。
いつも立ち話で、ほんの数分だけど私には夢のような時間だ。
大嶋くんが私に話しかけてくれる。
私のことを見てくれる。
私の言葉に耳を傾け、時に笑ってくれる。



「廣瀬さん、おつかれさまです」
「お、おつかれさまです」
また顔が熱くなる。でも夕焼けが隠してくれている。
「毎日遅くまでがんばってるんですね。」
「大嶋くんこそ…」
なにげない会話が、嬉しい。

「だんだん日がのびてきましたね」
夕焼け空を見上げ穏やかな表情で大嶋くんが言う。
あの春、あの入学式の時もこんな表情をしていた…。
「…きれい」
ふと口に出てしまった。
大嶋くんが視線を私にずらす。
「あ、その、夕焼け空がきれいだなって…」
「そうですね」
大嶋くんは穏やかな笑顔で頷いてくれた。

本当は空を見上げていた大嶋くんの横顔があんまりきれいで… 夕焼けの光が大嶋くんを包んでいて、すごく幻想的に見えて…
無意識に口にしていた。

「あの…」
大嶋くんの表情が変わる。
「ちょっと、話せませんか?」
心臓がドキンッと大きく鳴るのが分かった。
「どこか座って…」
そんな特別な事じゃない。立ち話じゃ疲れるから、話すなら座って話そうって。大嶋くんにはそれだけの事なんだろうけど…。新たな展開に、私は緊張のあまりうまく対応できない。
私が黙っていると
「あ、廣瀬さんに時間があったらと思っただけなんです。無理ならいいんです。」
「無理じゃないですっ」
反射的に口に出た言葉。
私、大嶋くんといたい。
今年は勇気を出して、大嶋くんと仲良くなるんだ。



続く

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