セスナ機が遭難して3日目の夜の事である。
山岳警備隊の隊長で、今回の対策本部長である斉藤が、記者会見を行った。
「出来る限りの方法で捜索しましたが、現時点では、何の手掛かりも無く、遭難者の生存は、絶望的と思われます」と。
当然、家族やマスコミから、様々な質問が出たが『捜索方法や内容には、問題ない』と言い切った。
家族もちろん、捜索隊の落胆は大きかった。
当初セスナ機は、通信機器の故障で、どこかに不時着したのでは、との思いもあった。
しかし、近隣の自治体からは、その様な情報もなく「絶望的」との言葉を受け入れるしかなかった。
矢口と野崎は、顔を見合わせた。
「本当に疲れるな」
「そうたな。何も出てこない何て、どう言う事だよ!」
野崎も珍しく、悔しさを露にした。
その後も、範囲を広げる等して、捜索が続けられたが、何の進展が無いまま、1ヶ月後に対策本部は解散した。