【第三章】第一話
直子とユーリの間に流れる沈黙。
楽しいはずの旅行がこんな風になろうとはユーリは思ってもいなかった…。
直子は気を取り直すかのように
「海に行こう!
泳ごう!!
そこで話すよ…。」
と言った。
食事をすませて海に行く支度をしている間の沈黙は堪え難いものだった。
けれど、海に出てみるとすっきりとした気分になっていた。
朝の9時だと言うのに気温は35度を超えている。
そして、熱した砂の上をビーチサンダルで歩いて2人で海に入って行った。
浮輪を使って泳いで(浮いていると)直子がやっと重い口を開いた。
「ユーリ…。
実はね、秘密にしてたんだけど…。」
ユーリはつばを飲み込んで聞きいった。
「私ね、双子なの。
いなくなったのは直子。
私は直子の双子の洋子。」
ユーリは目が点になった。
秘密ってそれ?
え?
なんで今まで秘密にされていたのかわからない…。
いなくなったのは直子でここにいるのは、直子の双子の姉妹の洋子?
なんで入れ代わったの?
じゃあ、直子はどこに行ったの−?
それに洋子は直子がいなくなったことを心配する様子がみられない…。
それにしてもよく似ている。
全く気づかなかった…。