アイスを買って食べながら歩き、自宅前まで来ると、玄関先に誰かが座っている。
……勇だ。
勇はまだ私に気づいていない。座って携帯をいじっている。
私は思わず少し離れたところに隠れた。
(えー、何しに来てんの?!この前の復讐?)
私が一人で動揺していると、バッグの中の携帯のバイブが鳴った。
慌てて携帯を見ると、勇からの電話だ。
私は出ようかどうしようか迷った。迷ってる間に着信が切れた。
勇のほうをそっと覗いてみると、頭をかきながらスポーツバックを抱えて歩いていってしまった。
勇と話したい。だけど、きっぱりと「女として見れない。」と言われるのが怖い……。
私は家に帰って、部屋のベッドに倒れこんだ。
「どうしたらいいんだろう……」
……その日の夕方。
「花ー!ご飯よー!帰ってるんでしょ?降りてきなさーい!」
お母さんの呼ぶ声で目が覚めた。
どうやら帰ってきて制服のまま昼寝していたらしい。
私はほっぺのヨダレを拭いながら部屋着に着替えた。
台所へ降りると、居るはずのない人がテレビの前に座っている。
「………よう、花。」
振り向いて勇が笑った。