昨日の『アレ』は何だったんだろう…
そんなことを考えながら顔を洗っているとようやく頭がはっきりしてきた。
あんなの理解できない。携帯の故障?じゃあ…あの声は?訳がわからない。
ちらりと携帯を見ながら整理しようと頭を働かせていた。
一つの結論が出たところで支度をして実行することにした。
…そうだ。番号自体も変えればきっと…
機種も番号も新しく変えた。コレで安心できる。
そう思いながら車に乗ろうとした。
身体が凍りついたように動けなくなった。
車の窓…自分が写っている。
…その少し後ろ…
髪の長い女がこちらを睨み付けている
「…嘘だろ…」
女が少しずつ近づいてくる。先程とは違い…笑いながら……
「お客様?」
不意に声をかけられて心臓が止まるかと思った。
店員だった。
「お忘れ物ですよ?」
「…あ。すいません」
受け取りながら『アノ女』がいた方を見る。
誰もいない…隠れるような場所もない。
冷や汗が噴き出した。
「…勘弁してくれよ…」
そう呟いて家に帰った。
彼女や友人に一通り連絡していたらいい時間になっていた。
視界のはしで何かが動いた気がした。そちらを見ても何もない。
「気のせいかな…」
座ったまま見るともなく置いてある少し大きめな鏡を見た。
鏡から目が逸らせない。
………いる!!!
アノ女が…あの時よりずっと近い距離に……
心臓が痛い。
恐怖で言葉にならない。
あの時は確かに笑っていた…なのに今は…。
…無表情。それがなおさら怖い。
無表情のまま近づいてくる。
今すぐ逃げ出したい。
それなのに全く力が入らない。腰が抜けて足が全く言うことを聞かない。
もがいている間にもうすでに真後ろまで来ていた…。
……もうダメだ!!
頭を抱えるしか出来なかった。
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