「時間は、遅くなっちゃったけどさ・・・。」
「そうじゃ無い・・・。時間じゃ無くて・・・。」
「今、どこなんだよ?迎えに行くからさ。」
淳は、家に戻る時間が遅かった事を気にしていた。
私は、そんな事、どうでも良かった―\r
「ホテル・・・。」
数秒、淳は言葉に困っていた。
「は?どこの・・・?」
「目黒のラブホテル。」
「・・・、ラブホテル?そんな所に何で居んだよ?お前・・・、もしかして・・・、中川って奴と逢ってんのか?」
「・・・、うん・・・。」
「何やってんだよ!!どうして、どうしてなんだよ?もう、逢うなって言ったろ!馬鹿か、ほんと・・・。」
私は、淳の言葉を聞いて、涙が止まらなかった―\r
「だって・・・、あっちゃん、彼女と今まで一緒だったんでしょ?彼女の部屋で、お風呂に入って何してたの?そう言う事、してたんでしょ?」
「七星とは、何も無いよ。俺の事、信じて良いって言っただろ?あいつと話してたら、興奮して物投げ出したんだよ・・・。で、ワインを瓶ごと頭から、ぶっ掛けられてよ。びしょ濡れになったから、風呂借りたんだ。それだけだよ。」
「ほんと・・・?」
「嘘なんて付かねぇって。マジだよ。っつうか、俺が、あいつとしてると思ったから、中川に逢いに行ったのか?」
「そうじゃない・・・。」
「話は、後で聞くからよ、直ぐ、車で迎えに行くから、そこで待ってろ。今、一人か?」
「うん・・・。」
「そうか。直ぐ向かうわ。」
淳との電話を切り、私は、直ぐにバスルームに向かい、頭から温いシャワーを浴びた。
全身の汚れを落としてから淳に逢いたかった―\r
三十分程して、携帯電話が鳴った。
着信は、淳からだった―\r
「俺だけど・・・。今、下に車停めた。何号室だ?」
「203・・・。」
「直ぐ、上がるわ。」
「部屋に入るの・・・?」
私が、着替えて部屋から下に降りるのだと思っていた。
「良いから、待ってろ。」
一方的に電話が切れ、私は、淳を待った。
五分後、部屋の扉が叩く音がした―\r
玄関に出て、バスタオルを巻いたまま、扉を開けた。
「香里・・・。」
淳は、私をいきなり抱き締め、強引に部屋に押し込んだ。
「私・・・、あっちゃんの事信じられ無かった・・・。」
「もう、中川と絶対逢うなよ。俺、もう香里の事、離さないからな。どこへも・・・、行くな。」
「うん・・・。」
ベットの前で、淳と私は、ずっと抱き合っていた―