奈々:「あーぁ、高校になったら自然と彼氏が出来るモンだと思ってたのになー」
昼休み、教室の窓際の席でお弁当を食べていると、友達の奈々がため息をつきながら言った。
春:「奈々は理想が高すぎなんだよ。猛くんにしときなよー。」
奈々:「猛〜?あんなのただのクサレ縁だってば…。」
奈々と猛くんは中学が同じだったらしく高校に入ってさらに仲良くなったらしい。
春:「おっ、噂をすれば猛くんだ。」
猛くんが数人の男子とベランダを通っている。
猛:「お〜、奈々と春ちゃん♪まだ弁当食ってんの〜?」
奈々:「うるさい。早くどっか行け。」
猛:「怖っ。どうした、奈々?機嫌悪すぎじゃね?」
春:「そっとしておいて。」
猛:「春ちゃんがそうゆうなら……じゃーな、奈々。」
そう言って行ってしまった。一緒にいた数人の男子の中の一人がチラっとこちらを振り向いた。
春:(あ、まただ。)
私の自惚れかもしれないが、いつもこちらを見ている。
廊下ですれ違うときも、学年集会のときも、さっきみたいにベランダを通って行くときも。
いつも視線を感じる。
名前もクラスも何も知らない男の子。