ある日の放課後、奈々が猛くんに呼び出された。
私は奈々がいよいよ告白されるのかと、ウキウキしながら誰も居ない教室の窓際に座って奈々が戻ってくるのを待っていた。
すると、ベランダの窓をコンコンとノックする音がしたので、窓を開けると外の冷たい秋風が教室に入ってきた。
そこに居たのは、いつも目が合う男の子だった。
透：「えーと、『春ちゃん』だっけ？」
私はいきなり名前を呼ばれて驚いた。
春：「……はい？」
透：「あ、オレ猛の友達で、名前知ってる？」
春：「ごめん知らない。」
透：「透って名前。猛どこか知らない？一緒に帰る約束だったんだけど、あいつ行方不明になって、帰るに帰れない。」
春：「あ、猛くんなら奈々と一緒だよ。たぶんもうすぐ帰ってくるはず。」
透：「そっか。一緒にここで待ってていい？」
春：「あ、ベランダ寒いでしょ？中入ったら？」
透：「……んー、いい。外のほうが気持ちいいし。」
そう言って透くんはベランダに荷物を置いて座った。
しばらく二人で待っていると、廊下から奈々と猛くんの喧嘩する声が聞こえてきた。
猛：「何でそんなに怒るんだよ！意味わかんねーよ！」
奈々：「自分で言えばいいじゃん！なんで私が……」
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