次の日の朝。
奈々は泣き腫らしたような目をして来ていた。でもそれ以外はいつもの奈々だ。
奈々:「春〜!お弁当食べよう〜♪」
いつもの窓際で奈々とお弁当を食べていると、また猛クン達がベランダを歩いてきてる。
奈々はチラっと猛くんを見た。
猛:「……よォ。」
いつもより猛くんは元気がない。奈々の機嫌をとるように挨拶してきた。
奈々:「………………。」
奈々は猛くんを無視して黙々とお弁当を食べている。
猛くんが気まずそうにその場を離れていった。
猛くんの向こう側で、こちらを見ている透くんと目が合った。
この気まずい二人をどうにかして欲しくて、とっさに透くんに助けを求めるように目で訴えた。
透くんはそれを見て、フッと口に手をあてて笑っている。
ムッときた私は透くんを睨みつけた。
透くんは『ア・ト・デ』と口パクでそう言って、猛くん達と行ってしまった。
奈々:「春、猛と付き合うの?」
春:「へ?……有り得ないよ。」
奈々:「どうして?」
春:「えーと、好きな人いるから。」
とっさに嘘をついてしまった。
頭の中に、さっきの透くんの笑った顔が横切って、またムッとした。