爪に深い赤色のマニキュアを塗る。乾くまでの時間何も出来ずに、ジッと時計を睨む。
時計の秒針が、規則正しく進んで行く毎に、私の心は怒りで満ちて行く。
マニキュアも乾き、塗った時より更にダークな赤になった。
我慢出来ずに、私は携帯を手に取る。ただひたすらにcallボタンを押した。
「嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき…」
26回ボタンを押したところで、やっと声を聞く事が出来た。
『お前何なんだよ?』
ハハハ…
第一声がそれ?
『……………』
『何か言えよッ。』
『…………………嘘つき。』
『は?』
あなたが悪いのよ。
私に嘘つくから。
ウフフ…
可哀相に…
私はゆっくり立ち上がる。
何だかもうどうでもいいって感じだった。
裏切られた
けどいい。
もうすぐあなたは
ここへ帰ってくる。
『……………!!?』
『おかえり…』
ねぇ、あなたが悪いのよ。
あなたのせいで手の平から洋服までマニキュアがベットリ付いちゃったじゃない。
何か良く分らないんだけど、
あなたの奥さん死んじゃったわ…。