どれ位、抱き合っていただろうか―\r
解らない位の時間、私は、淳とベットの前で、抱き合っていた。
突然、淳は、私をベットに押し倒した―\r
「あっちゃん・・・?ねぇ、あっちゃん!!」
淳は、強引に、私の胸元に巻かれたままのバスタオルを、剥ぎ取ろうとした。
「良いよ。」
制止を振り切り、淳は、私にキスをした。
「止めて、ここでするのは嫌だよ!!こんな風にあっちゃんとするのは、嫌・・・。」
淳は、我に返り、私の身体から、静かに離れた。
「ゴメン・・・。」
「謝らないで・・・。ここは嫌なの・・・。あの人の匂いが残ってる。」
「帰ろ・・・。」
淳は一言、そう言って、私をベットから起こし、着替える様に言った。
着ていた服を身に着けた私は、淳に抱き付いた。
「香里・・・、帰ろう。俺んちに。」
私は、首を縦に振り、淳の後を追い、車に乗り込んだ。
淳は、車を運転しながら、左手で、私の右手をずっと握り締めていた。
殆んど、何も話さなかった。
空は朝焼けで、紅くなっていた。
さっきまでの事は、もう、とても昔の出来事の様に感じられた。
「香里・・・?もし、嫌だったら言っても良いんだからな。」
「嫌な訳無いでしょ?本当は、もっと早く、あっちゃんと、こうなりたかったの。」
淳の部屋のベットで、私と淳は、初めて結ばれた。
淳は、優しく私を抱き締めた。何度もキスをし、ゆっくり時間を掛けて、服を脱がせた。
淳が、私の身体に入って来た時、私の目からは、涙が溢れた。
「痛いのか?」
「違うの・・・。痛いんじゃ無いの。嬉しくて・・・。」
「嬉し泣きする奴なんて、見た事無いよ。香里って、可愛いとこ有んだな?」
淳は、冗談ぽく笑った―\r
「笑わないでよ・・・。止まらないの、涙。」
淳は黙って、私の涙を指で拭い、頭を何度も撫でた。
「愛してる・・・、香里。今まで気付いてやれなくて、ゴメンな・・・。これからは、ずっと一緒に居ような。もう、どこへも行かないでくれ。」
「もう・・・、私も、離れたく無いよ。あっちゃん、ずっと私と一緒に居て。」
「うん・・・。」
淳と私は、そう会話を交した後で、絶頂に達した―\r
今まで、生きて来て、こんなに幸せな気持ちになったのは、初めてだった。
私は、入社して以来、初めて仕事を休んだ。
淳と、ずっとずっと、一緒に居たかった。
このまま、時間が止まれば良い―\r
そうも思っていた。