それはとてもマズイ事…。
人間と付き合っていて、人間は僕等の能力を知っていて、さらに………
妊娠………。
そんな事より、ライアンがすでに奈々ちゃんと…………。
そう思うと、まだエリンに何もしてない自分が悔しくなり、愕然…。
「なに落ち込んでんの?」
「べっ…別に…。」
(エリンに男心なんてわかるわけがない……。)
「ばあさん…ホントなのか?」
いつもより、真面目な顔をしてばあさんを見つめる…そして、奈々ちゃんの肩を抱きしめる。
ライアンが男らしく見えた。
「本当じゃ…。話しはまだそれだけではない。」
僕等は黙ってばあさんを見た。
「奈々の記憶を消さなかったのは、理由があったんじゃ…。」
「理由?」
「それって…あたしが消さないでって、願ったからでしょ…?」
奈々ちゃんの言葉に、ばあさんは黙って首を振る。
「それもあるが…。」
しゃべる前に、水を一杯口に入れため息をつく。
「奈々は魔界人と人間の間に生まれた子じゃ……。」
言葉を失った…。
じゃあ、何故奈々ちゃんは、ずっと人間界にいたんだ?
両親は…?
「奈々の父は人間…。母親は女神…モイライの子孫。」
モイライ…。運命の女神…。
「…聞いた事ある。」
ライアンはボソッと声を出す。
「あたしの母は…。人間だよ…。」
奈々ちゃんは涙をぽろぽろと流す。
「人間にさせられたんじゃよ…。」
「じゃあ、父は?やっぱり…。」
「お前を守るとゆう事で、消されたんじゃ…。」
あまりにも衝撃すぎる…。
何も言えず、
何も出来ず、
ただ、聞く事しか出来ない。
「じゃあ…奈々ちゃんは…。」
「まだ、魔界人のままじゃよ…。女神の血を引く、運命の女神モイライ。ライアン、お前は小さい頃、母親に聞いた事なかったか?」
「………禁断の魔力の事か?」
「それもなんじゃが…。お前の指命を…。」
「俺の指命…?」
(まさか………。)
「神の使いを守る為に生まれたと…。」