僕と同じ…。
『神の使いを守る事』
ライアンもそうだったのか…。
「ケルベロスであるハーンは、ペンドラゴンを守る為…ペガサスであるライアンは運命の女神を守る為…。お前達には指命があって生まれてきたんじゃよ…。」
コップに水を注ぎ、流すように飲み干す。
ばあさんは僕等を見て
「お前達が、愛し合うのも、運命だったんじゃよ…。」
あたかも全て知っていたかのように、ばあさんはしゃべり続ける。
「私達の運命……。」
奈々ちゃんはその場で座り込み震えていた。
「あたしの…あたしの弟も…そうなの？」
「奈々の弟は、若干ではあるが魔力を持っている。お前と同じ神の使いなんじゃが…。」
僕の手は汗ばんだ…。
こんな事が、現実にあるなんて…。
「ばあさんは何で知っていたんだよ。」
僕はばあさんに問いただす。ばあさんは目をそらし呟く…。
「モイライが人間にされるとき…そこにいたからじゃ…。」
緊迫した空気…。
エリンは堪えられず部屋を出る。
みんな何も言わず、ただその場を動かなかった。
「……黙って見てただけなのかよ。」
ライアンの体は、魔力を次第に高めていく…。
ばあさんは何も言わず俯いたままだ。
「なんか言えよ！ババア！質問に答えろって言ってんだよ！！」
食ってかかる姿に、僕は止めようともしなかった。
僕も、真実が知りたいから…。
しばらく、黙っていたばあさんは、ようやく口を開く。
「わしがやったんじゃ…。奈々の父親も…わしが…。」
それを聞いた途端、ライアンは手でばあさんの喉元を縛り上げる。
「ババア…てめぇは神の使いじゃねぇのかよ…。訳わかんねぇ事言ってっと、消すぞ。」
「わしを消す事など、お前にはできん…未熟者め…。」
睨み合う…。
家が壊れそうな振動…。
ライアンの力は思った以上に強烈…。
いや…
多分ばあさんの力が…。
「もう…やめて…。正司もお祖母様も…。」
今までに感じた事もない、温かい魔力…。
奈々ちゃんの体に異変が起きる…。
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