消えた30の瞳

内田俊章  2009-09-08投稿
閲覧数[424] 良い投票[0] 悪い投票[0]

 セスナ機遭難事故から、1年が経った先日、何も発見されないまま、家族と自治体の、合同の慰霊祭が行われた。

 矢口と野崎も参列したが、家族の悲しむ言葉を聞くと、目頭が熱くなった。


 1年が経った今でも、矢口たち山岳警備隊のメンバーは、時間を見つけては捜索活動を、続けていた。


 その日、矢口と野崎は、一番“鳴神山”寄りの沢へ向かった。

 5号目の山小屋を出て、東へ向かい、遭難した翌日の捜索と、同じルートをたどった。

 一番奥の沢へは、尾根を1時間ほど進んでから、北側へ下る事になる。

 「もう何回も来てるけど、今日が最後だと思って行こうな!」

 矢口が言うと、野崎は珍しく同調した。

 「そうだな。古い雪渓と、新しい雪渓の境目だな」

 「あぁ」

 2人は慎重に雪の上を下って行った。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 内田俊章 」さんの小説

もっと見る

ミステリの新着小説

もっと見る

[PR]
人気カラコン送料無料
ポイント20倍で激安!


▲ページトップ