初恋 9
「ネエ、タカシ。あっちへ行って来よう!」
スージーは、海の方を指差し、隆を誘った。
「うん」
2人は並んで、砂浜を歩いて行った。
サンダルを脱ぎ、裸足で海へ入ると、昼間とは違い、水は“ヒンヤリ”として、気持ちが良かった。
スージーは1人で、来ては返す波と、戯れていた。
隆は、そのスージーの姿を見つめながら思った。
“スージーにとっては、初めての海だったんだ。そして、5月に転校して来たばかりだが、この町には、何年も居られないかも知れないとも、言っていた”
「ネエ、タカシもコッチへおいでよ!」
スージーは、隆の手を引き、一緒に海へ入った。
「オー!気持ち良い!」
そこへ、勇二とひとみもやって来た。
「お二人さん!すっかり、仲直りをしたみたいね!」
ひとみが、冷やかした。
「私たちは、ケンカなんて、してないもね!」
そう言うとスージーは、お化け屋敷でしがみ付いた様に、隆に“くっついて”見せた。