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そう言えば、高校時代の友人と会ったのは、何年ぶりだろう――
仕事を辞めた俺には、居場所が無かった。
今日も1人、公園のベンチに座り、
1袋50円のパンの耳をかじる。
先日、仕事帰りに、ふと立ち寄った本屋で偶然会った彼は、
高校時代と比べ、少し老けていたが、
言葉を交わすと、中身は何も変わらない、昔のままのイイヤツだった。
卒業後、友人は専門学校へ進み、
俺は家が貧しかったから進学せず、すぐに就職したのだった。
――山田ンとこは男のコ2人だったよな?!
大きくなっただろうな?!
俺が会った事があるのは、2人共ちっちゃい頃だからな――
――ハハハ。そうだったよな。
お前の結婚式の時に、花束渡させたからな――
――おう。めんこかったよなぁ。
今ならもう、いい話し相手になるだろう?!――
――いやいや。まだまだ子供だよ。
難しい年頃でな。
俺とろくに目も合わせてくれないんだぜ――
――男の子は女の子と違って、そんなもんだって言うぜ?!
ベタベタされる方が心配だろ?!
それよりお前、仕事を辞めるかも知れないってのは本気か?!――
――あぁ。もう決心したんだ。
ヒトをヒト扱いしない、あんなクソみてぇな会社とは、おサラバさ――
――バカを言うな!!お前、2人も子供抱えて何を言ってるんだ!!
次の当ては、あるのか?!――
――そんなもの、ないよ――
――どうしたんだ?!覇気がないぜ?!
お前らしくもない。
昔は俺、お前の事、すげぇヤツだって思ってたんだぜ?!――
――……俺が…すげぇヤツ?!……何が?!――