――お前ン家、貧乏だから、専門学校に行けないからって、すぐに就職しただろ?!
しかも配属先がシステム開発課で。
それからのお前は、死に物狂いで、独学で勉強していた。
あの時のお前を見て俺、すげぇよコイツって、尊敬してたんだぜ?!――
――……は…は…。昔の話だろ。
結局、他部署へ異動させられたのだから…所詮、俺はその程度の男だったって話さ――
――……………。
そうだ!!お前、俺ンとこ来いよ。
俺の勤務先の会社が今、新しい分野に手を伸ばそうとしているんだ。
お前の様な優秀な人材が必要なんだよ。
俺が口を利いてやるからさ――
――優秀な人材?!
鈴木。お前、俺を買いかぶり過ぎだぜ?!
もしかして、誰かと勘違いしてないか?!
俺が優秀……――
――いいから。
これ、俺の名刺。
今日は、あいにく時間が無い。
近いうち、ゆっくり飲みながら話そうぜ――
本屋を出てからの立ち話にしては長過ぎた。
けれど、鈴木は昔からお調子者でイイヤツだったって事を、
久しぶりに、俺の記憶の中から蘇らせてくれたのだった。
そんな、鈴木とのやり取りを思い出しながら、
俺は、今日もこんな真っ昼間の公園のベンチで、数時間をやり過ごした。