足の上には、金属の塊が乗っかっていて、隣りには冴えない男が俯せに倒れていて、私は頭がズキズキ痛んでいた。
状況を把握する前に、隣りの男が慌てて飛起きて金属の塊をどけた。
「すいません!!!大丈夫ですか?怪我ありませんか?」
「痛い…」
私はゆっくり起き上がった。
「何処か怪我しました?何処痛いですか?」
「あの…俺iPod聴きながらチャリ漕いでて…それでカラス凄い飛んでるな〜とか空見てたら…」
男はかなりテンパってるみたいだった。なんだかおかしくて吹き出しそうになった。
「大丈夫。頭打ったけど、血出てないし。」
「うわっ!!!!足血出てるじゃないっすか。救急車呼びましょうか?どうしよ〜」
ここまでテンパってると笑えないものだ。
私はハンカチをポケットから取り出して男の額に当てた。
「擦り傷だから。血が出てるのは君でしょ?」
「えっ?」
男は驚いて、額に手を置き手に付いた血を見てまた驚いていた。
「フフフ…」
「どうしました?あっ頭打ったから…」
「私の頭は正常です(怒)!!てか君面白いね。ぶつかったお詫びにさ、家泊めてくれない?」
「えっ?」
自分でも変な事言ってるのは重々承知だけど、一人になりたくなかった。
「彼女に怒られるんだ?」
「いや…いないっすけど…」
「ダメかな?」
「いや…てか知らない男の家泊まるとか危ないじゃないっすか」
「君危ないんだ?(笑)」
私は知ってる。
君は危ない男じゃないって。
だって、
こんな澄んだ目をした人始めて見たんだ。吸込まれそうなほど深く広がる純粋な心。
続く