1 ふわふわとした雲が浮かび温かく優しい色をした光が広がる世界… そこにふわっとした小さな翼をつけた少女が雲から下の世界をじっと見つめている。下の世界ばかり見ている少女に少女より年上の背中に翼をつけた少女が話しかける。「ハルちゃん!何してるのっ?」「あ、マリア姉ちゃん…あのね、ハルちゃん今、下の方の世界を見てたんだよ。」「へぇ、どうして?」「…お母さん元気ないから。」「え?」「ここから下の方を見るとハルちゃんのお家やお母さん達が見えるんだけどね、ハルちゃんがここへ来てからお母さん元気なくなっちゃったの…」「そっかぁ。それは心配だね…」「うん。ねぇマリア姉ちゃん。」「何?」「お母さんどうすれば元気になるの?」 「えっ、う〜ん…」 ハルは涙を流しそうな目でマリアをまっすぐと見つめる。マリアはうまく答えられず黙りこんでしまう。元気のないハルの顔を見てマリアはなんとかしてやりたいと思った。しばらく考えた末、マリアはようやく一つの提案を思いつく。「良いこと思いついた!ねぇハルちゃん、お母さんに会いに行ちゃおうよ!」「え…お母さんに会えるの!?」沈みきっていたハルの顔は一気に頬が赤くなり目が輝く。喜びでいっぱいの顔をしていたハルだがすぐに心配そうな顔をし言う。「でも、ここへ来た時、天使さんにここへ来たらもう家族と会えないって言われたよ?」そんなハルにマリアが自信が溢れた顔で返事をする。「大丈夫!おじいちゃんに頼めば絶対に言って良いて言ってくれるよ!おじいちゃん優しいから。」「本当に?」「本当に!ハルちゃんだって お母さんに会いたいでしょ?」「うん!会いたい!!」「よし!ならこの事をおじいちゃんに言いに行こうよ!」「…うん。」ハルとマリアは嬉しそうにして雲が続く純白な世界の彼方へと走っていく。 つづく