奈々ちゃんの体から、オーラが漂う。
それは不思議と優しい気分になる。
それを感じたエリンは僕のそばへと戻って来る。
「あれ…奈々ちゃんなの?」
「あぁ。」
喉元を締め上げていた手をゆっくりと下ろし、ライアンは奈々ちゃんを見つめる。
瞳の色を変え、白い羽根を広げ、宙に浮かぶ。
その姿は、女神とゆうより天使のようなかわいらしさだった…。
「やはり、中途半端じゃったか…。」
ばあさんは奈々ちゃんに近づき、頬をなでる。
「あっ…あたし…。」
涙をぽろぽろと流しながら、ばあさんの瞳をじっと見つめている。
立ちすくむエリン。
ただその姿を口を開けて見つめるライアン。
死神はずっと黙って見ている。
僕は………。
ただ驚くばかり………。
「まだ、未熟かもしれないが、それがお前の姿じゃよ。母親に良く似ておる。」
「お母さんに……。」
一言呟いて、奈々ちゃんはそのまま気を失う…。
元の姿に戻って…。
「お祖母様…奈々ちゃんはどうなるの?」
奈々ちゃんの所に駆け寄り、ばあさんに問い掛ける。
エリンにとって、大切な友達…。
「身篭ったんじゃ…。魔界で暮らしてもらう…。」
「ふざけんなよ!奈々は俺と暮らすんだ!こんなトコにいさせねぇよ!」
さっきから、苛立ちを隠せないライアン…。
気持ちは何となくわかる…。
「ライアン、お前の気持ちはわかる。すまないと思っている。奈々の母親には、わしから話しをする…。モイライは事情を知っておるからな…。」
ばあさんはまた、重い腰を下ろし、一つため息をついた。
「…知ってる?何をだよ。」
「…いずれわかるじゃろうて。死神、ハーン達を送りなさい。」
死神はマントをかけ、僕等を送り届ける。
ライアンと奈々ちゃんを残して…。
「ハーン、エリン、とんだ事に巻き込んだな…。許してくれよ。」
エリンは横に首をふり、
「死神様、あたし達は迷惑だなんて思ってないよ。………それより、これからどうなるの?」
「……そうだな。実話、シヴァ様から、お前達には全て話しておけって言われてるんだ。」
エリンは僕のTシャツの裾を引っ張り、息をのむ。
僕は…死神の瞳をじっと見た。
「実話な…。」