私は､仕事を休み､その日一日を淳の家で過ごした｡
淳は､殆んど寝ずに､昼頃､自分の店へ出掛けた｡
その間､私は､淳のﾍﾞｯﾄで､死んだ様に眠ってしまっていた｡
数時間後､夕方になって､店を従業員に任せて､淳は､帰宅した｡
淳が､玄関の扉の鍵を開ける音で､私は､目が覚めた｡
「香里､まだ寝てたのかよ?よく眠れた?」
「あっちゃん､今､何時?」
「もう､六時･･･｡」
「えっ?もうそんな時間?」
「外､暗くなって来てるだろ?よく眠れて良かったじゃんか｡」
淳は､疲れて居るのに､そんな素振りも一切見せずに､笑って言った｡
「あっちゃん､殆んど寝て無いでしょ?疲れてるんじゃ無い?」
「疲れたよ〜､ﾏｼﾞで｡でもさぁ､今日は､今までで､一番幸せな気持ちになれた日だから､何とも無いよ｡」
「え〜っ?幸せになれた日?」
「香里と一つになれた日だからよ･･･｡疲れなんて､忘れちゃったよ｡それとさ･･･｡」
次の瞬間､淳の表情が､急に変わった｡
「うん･･･｡」
「中川って奴の事だけどよ､素性が少し解ったわ･･･｡」
「えっ･･･?それって?」
「うん･･･､知り合いに頼んで､調べて貰ってたんだよ｡麗華の事も有るしよ･･･｡」
「麗華に､話すの?」
「いや､まだ全部解って無いし､麗華に話したら､ｱｲﾂ､ﾊﾟﾆくるだろうしよ､それは未だ迷ってんだけどな｡」
中川の素性―＼r
私も､中川の事は殆んど知らなかった―＼r
何処に住んでいるのかも､勤務先も―＼r
麗華から聞いて居たのと､中川が私に少し話した事しか､分からなかった｡
「で･･･?何か解ったの?」
「あぁ･･･｡父親は､香里が言ってた様に､代議士だな｡名前は､中川雅樹｡ﾆｭｰｽとかで見た事有るだろ?実家は､成城｡奴は､独り暮らしみたいだ｡後な･･･､有名な広告代理店に勤めてるらしいわ｡歳は､俺らより､7歳上だから､今年三十か･･･｡」
「そう･･･､なんだ｡」
私は､何も知らなかった｡
淳から､中川の事を聞いても､初めて知る事ばかりで､人事みたいだった｡
「麗華以外にも､女は沢山居るみてぇだな､高校生から､人妻まで､何人も居るらしい･･･｡」
「麗華は､知らないよね､きっと･･･｡」
「知らないんじゃねぇか?麗華なら､そんな奴と解ってたら､次の奴に乗り替えるだろうからさ｡」
私には､受け入れ堅い話ばかりだった｡
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