『今度オレの家に来いよ。つーか…明日!』
僕は
『うん。分かった。誰が来るの。』
とメールを返す。そしたら、
『あー。まだ誰も。でもたまには2人で遊ぼうぜ。』だよな?僕は少し疑ったが『まあいいけど。』
とメールを返した。
「だよなって…。」
ずっと考えてた。
でも、楽しそうだ。
「あ…もし龍吾が誘ってきたら断らなくちゃいけないから、一応遊ぶことを伝えとこ。」
そう思って一応龍吾にメールを送った。
翌日。2月14日。
石田中前。
「よっ。」
健也がやってきた。
「オレんち石田中の近くだから!」
と言って、自転車をこぎはじめる。
本当に近かった。線路脇の家だった。
「あがっていいよ。」
「おじゃまします。」
「あっ…親は仕事で誰もいないんだっけ。」
「そっか。」
健也の家は至って普通の家だ。
「ここ、オレの部屋。」
と言って、
「入って。」
と言われ、部屋に入った。後から健也が入る。
その時、ガチャっと音がした。
「何で、鍵閉めるの?」
明らかに健也の様子が違う。僕は疑問を隠せない。
「何なの…。」
健也は嘲笑っていた。
「お前のせいだよ、みーくん…。」
近寄ってくる。
そして…
気付いたら、ロープで体が固定されて、身動きできない。
「なんだこれ…」
「お前がいるから龍吾は辛い思いしてんだよ。」
「…?」
「お前さ。この1年間、龍吾は何してたと思う?」
「……。」
「お前のために、毎日グローブを磨いてたんだ。」
「龍吾…」
健也は話を続ける。
「龍吾は、優しい奴なんだよ。お前なんかに…」
そう言った途端、とっさに僕の腕をつかみ、力を入れた。
「痛い…」
「お前が…お前が、苦しめてるんだよ龍吾を!」
何とか腕を離す。健也の表情は怒りに満ちている。
「健也よく聞いて…」
「聞かなくても分かるんだ!」
そして、部屋を出ていった。
「死ね。」
部屋の鍵が閉められた。
完全なる密室。
僕は何とか携帯をたぐりよせた。
「お願い…」
とりあえず龍吾に電話しよう。
「もしもし」
「みーくんか。どうした?」
「今、健也の家にいる。」「分かってるけど。」
「助けて…」
「…え?」
龍吾は戸惑う。
「とにかく助けて!」
それが最後だった。電話は切れてしまった。
「行かなくちゃ…!」
僕と龍吾の、本当の友情が試される時が来た。
その頃、健也が包丁を持って階段を上がっていった。