カオスバスター 第10話:夜

キングボーズ  2006-07-30投稿
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ガルの母のお墓を作った日の夜。
「ツバサさん?ガル君一人にして大丈夫でしょうか?」
リアは心配そうにツバサに尋ねた。
「ん?まぁ大丈夫だろ?今はそっとしておこうぜ。」


ガルは母の墓の前で考えていた。ガルは人間の子供で、2、3歳の時その親に捨てられて、狼に拾われた。そしてこの7年間、狼に育てられた。いつからか、拾ってくれた狼を母と呼ぶようになり、狼たちの言葉も理解できるようになっていった。ガルと母狼は群れの最後の生き残りだった。ほかの仲間はカオスバスターたちの遊びで殺されていった。その後は母と二人で生きてきた。そして今日、狼の生き残りはガル一人になった。
(母さんは昔から好きに生きろと言ってくれた。それにツバサ兄ちゃんには母さんを助けてくれた恩もある。…たしかカオスバスターを倒すって言ってたっけ。)






翌朝。ツバサとリアは旅の準備を整えガルに別れを告げるため、ガルをさがしていた。
「結局ガル君帰ってきませんでしたね…。」
「まぁあいつのことだからもう食べ物でも探しにどっか行ったんじゃねぇかな?」
二人は笑いながら、振り返って歩こうとした。
「何がそんなにおかしいの?さっさと行くよ!!」
振り返った先には、ガルが立っていた。
「ガル…お前行くって何処へ?」
「カオスバスターぶっ潰すんだろ?手伝ってやるよ!!」
ガルは楽しそうに言った。ツバサとリアはポカンとガルを見ていた。そして二人は納得したような顔をして、冷やかした。
「あ〜あ!五月蠅そうなガキがついてきちまった!!」
「クスクス…そうですね。」
「あぁっ!?ひどいよ!!兄ちゃんも姉ちゃんも!!」
三人は仲良く森を出て行った。

すこししてガルは引き返してきた。
(母さん。これでいいよね…?)
母狼の墓にむけ、ガルは尋ねた。墓から返事が返ってくることはない。しかしガルは満足した表情で、走って行った。



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