初恋 12
隆は、“ぎこちなく”スージーの左の頬に、唇を軽く触れた。
するとスージーは、目を開けて“ここに”と、自分の唇を指差し、又目を閉じた。
「ええっ?」
もう隆の頭の中は、真っ白だった。
そして、言われるままに隆は、唇を重ねた。
初めての、口付けだった。
隆にとっては、このまま、時間が止まって欲しいと思うほどの、夢の様な出来事だった。
それは、スージーにとっても同じだった。
家族との口付けが、当たり前のアメリカ人でも、相手が同級生となると、話が違う。
でも2人は、まだまだ子供で、小学5年。
「タカシ!ずうっと友だちで居てね!」
「うん」
隆は、まだ夢心地だった。
その時、隆たちを呼ぶ声が聞こえた。
「隆〜!スージー〜!戻るぞ〜!」
現実に、引き戻される思いで、2人は腰を上げた。