「はぁ…死にたい……」
そう聞こえたのは聞き間違いなのだろうか、隣の窓際の席の方から聞こえたけれど。
隣の彼女はやっぱり今日も寝ているように見える。
ずっとそう。クラスが一緒になった程度ではわからなかったが、隣の席になってみるといつも寝てることに気付く。
隣を伺ったついでに窓から空をみると今にも雪でも降りそうな、ゆっくりと風に流される薄暗い雲がある。
見ていると今日もどきどきした。理由はわからない。
隣の彼女が机の上でもぞもぞと寝る体勢を変えていた。本当に寝ているみたいだ。さっきのは空耳だったらしい。
そのうちに雪が本当に降り出して、こんな寒いなか暖房もつけない学校の事務を恨みながら、カーディガンの袖を伸ばして手袋みたいにした。こうすると意外と暖かいのだ。伸びてしまうからあまりやりたくはないけど。
まだ朝のホームルームには時間があって、教室にいる人はまだ少ない。
−−この雪のお天気のなか、死んだらどんな気持ちなんだろう。
なんてつい考えてしまった。
きっとさっきの空耳のせいだ。